
田淵の東京六大学不滅のホームラン記録を塗り替えた男は、瞬く間にプロ野球のスターになった。
端正なマスクと柔和な笑顔は女性ファンを虜にし、卓越したバッティング技術と俊足・強肩に裏付けられた華麗な守備はコアなファンを唸らせた。
プロ18年目を迎えても、その名がコールされるとドームはどよめき、一段と大きな声援がわき起こる。ファンに愛され続けた選手。
ファンは知っている。その男が単に野球の上手い、単にカッコイイ選手では無い事を。
高校2年、夏の甲子園、太股肉離れを負いながら8回からリリーフし12回にサヨナラ負けし、歩けなくなるまで投げ続けたこと。プロ入り後、フェンスに激突し、何度も大怪我を負いながら、それでも打球に飛び込んで行ったこと。2004年、巨人選手会長として球団合併に端を発した騒動に際し、自身の将来のリスクを顧みず、敢然と経営陣に立ち向かったこと。
その男気にファンはしびれるのだ。その男が、請われて巨人の監督になる。少年時代、父や周りの人が喜んでくれるのが嬉しくて野球を続けた男が、ファンの喜ぶ姿を夢見て指揮を執る。
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