(写真=後藤麻由香)

 私にはとてもできないな、というのが仁藤さんの活動を間近に取材した率直な感想でした。かねて子供や若者の貧困問題に強い関心を寄せていたので、仁藤さんが関わっている女子高校生たちの、いわゆる「JKビジネス」からの救出活動を知ることになり、実際に売春をしていた10代の少女を取材させてもらいました。

 仁藤さんの自宅でインタビューをしたのですが、私たち取材班が到着すると、キッチンからはパンの焼けるものすごくいい香りが漂ってきました。仁藤さんは、家族と食卓を囲むような当たり前の暮らしを持たない少女たちを、たびたび自宅に呼んで、ともに料理をし、鍋をつついたりして話を聞くというのです。

 その自宅の一室には、公共トイレなどで顔を洗うことしかできない少女たちに配るシャンプーや歯ブラシ、生理用品などがうずたかく積まれていました。24時間彼女たちからのSOSの電話を受け、必要とあれば危険をかえりみずに裏社会と渡り合って少女たちを救出し、自宅に呼んで食事をともにし、話を聞き、その後の生活の相談に乗る。つまり仁藤さんは自分自身を丸ごとこの活動に呈しているのです。

 しかもそのありさまは自然体でしなやかです。恥ずかしながら、とてもじゃないけど私にはできないと思いました。少女たちの置かれている現実の厳しさは想像をはるかに超えています。背景には貧困、家族の無関心、裏社会の誘惑と表社会の無理解が複層的にからみあっています。仁藤さんの活動がになう意義はとてつもなく大きいと思います。