(写真=的野弘路)

 アクセルスペースが19億円の資金を調達し、多数の衛星を開発、打ち上げる計画をぶち上げたというニュースに心躍った。中村君がいよいよ勝負をかけたのだと。通常の衛星は1機、数百億円で開発は5年以上かかる。1機、数億円以下、開発期間2年以内の超小型衛星は、機能はさすがに大型衛星にはかなわない。だが、政府以外の宇宙ユーザーを獲得し、これまでにない新しい利用方法、ビジネスを拡げる画期的ツールとして、世界中でベンチャーの競争が始まっている。アクセルスペースは、日本の旗頭として、勝負を挑んだのだ。

 中村君が私の研究室に入ってきたのは2001年4月、折しも研究室は当時、世界最小の1kg衛星「CubeSat」で宇宙への一番乗りを目指して世界としのぎを削っていた。開発の途中、まだうまく動くかもわからない衛星搭載カメラの画像を無料で配信するサービスを一般公開したのは彼だった。米国の砂漠で、目標地点に飛んで帰ってくる空き缶型模擬衛星の精度を競う大会で世界記録を打ち立てたのも、世界中の大学地上局をインターネットで接続し、衛星運用のチャンスを増やすソフトを作り、実験を開始したのも彼である。そして2008年のアクセルスペースの起業。

 一見無茶に見えることをやる度胸、しかもそれを確実に成功につなげる企画力と運営力は群を抜いていた。酒を飲むと、でかい声でとめどなくしゃべり続けてうるさいことが玉に瑕(きず)だが。