(イラスト=服部あさ美)

 私は次世代の経営リーダーを育成する「経団連フォーラム21」のアドバイザーを20年来、続けている。8年前、三菱重工業の部長職だった森本浩通さんは、その参加者のひとりだった。過日、テレビ番組の収録で新社長に就任された森本さんに再会する機会を得た。彼は既に米国法人社長も経験。経営者として肝が据わり、何ともいい顔つきになっていた。

 だからこそ先日のMRJ初飛行の際には胸が熱くなった。もっとも私は、自動車産業に続く新しいプロダクトサイクルを実現させるため、様々な機会を捉えて注目し続けている。

 かつて戦闘機の分野で栄えた日本の航空機産業は、敗戦をもって途絶えた。代わって自動車や新幹線の技術が磨かれ、他国の追随を許さない。それは「空」を制することのできないジレンマを、「地上」で昇華させてきたからに他ならない。例えばリニア中央新幹線は、「空を飛ばない航空工学」の結晶として生み落とされた、とも言える。

 しかし悲願達成、前夜である。MRJは燃費効率が同型機に比べて2割高く、騒音は4割軽減できるという優れた機体だ。20年後、世界の航空機数は現在の倍以上、4万機とも言われるが、MRJはそのうちの5000機の製造を目指す。

 世界の空を、国産機のコントレール(ひこうき雲)で彩る時代の到来が、待ち遠しい。