(写真=守本 勝英/ヘア=TAKU/メイク=ITSUKI)

 「エッジィなのにモテる服ですね、sacaiは」と言った時、阿部さんは「うれしい」と喜んでくれた。「モテる服」という一見軽い響きに、警戒心や戸惑いを抱くデザイナーもいる。でも、阿部さんは違った。その瞬間、私は彼女に「次世代の女性デザイナーの時代」の明らかな到来を感じた。

 「モテる」には様々な意味がある。リアルであること、女性が自分自身に自信を持て、男性も惹かれる服であること。つまり、バランスが空前絶後にいいのである。最高のバランスは最高のクリエーションになりうる。2011年からスタートしたパリコレクションで成功したのもそこに秘密があったのでは、と思う。「見たことがない服なのに、どこかセンシュアル」と、欧米のマーケットでも瞬く間に人気に火がついた。ショウを作り上げるスタッフたちも常に世界で最高レベルの人々が彼女の周りに集まる。お金もかかる。しかし、彼女はそれがクリエーションにおいてもビジネスにおいても必要であることが分かっている数少ない日本人デザイナー。度胸があるのだ。ファッションが何であるかを本能で知っている。

 阿部さん自身も、女性からも男性からもモテる人である。彼女と飲むお酒は最高に楽しい。ファッションと同じく、「泡のような輝き」をどれだけ人生が愛すべきなのかを知っている人。