
2015年5月10日。柚希礼音さんは宝塚を卒業した。その前年、宝塚歌劇は100周年を迎え、その100周年のイベントを、精神的な支柱となって率いたのが柚希さんだ。
宝塚の世界が今なお輝き続けるのはなぜか。その裏側には、未婚の乙女たちのたゆまぬ努力や、時に大泣きしながらも切磋琢磨する泥臭い世界がある。柚希さんは、こうした宝塚歌劇が連綿と培ったDNAを体現したトップスターだった。
大きな転機となったのは9年目の「THE SCARLET PIMPERNEL」のショーヴラン役だったのではないだろうか。持って生まれた才能に磨きをかけ、血のにじむような努力を重ね、数々のプレッシャーに耐え、舞台に立つことに“芯が入った”ように感じられ、頼もしかった。
以降6年間、トップスターとして、宝塚の“顔”として、まさに進化し続けた。
そんな彼女が舞台俳優として、2章目の人生を歩み始めた。宝塚退団後の初舞台に選んだのは、「プリンス・オブ・ブロードウェイ」。一人の日本人舞台俳優として、ブロードウェイのスターたちと伍してやっていく──。そんな高いハードルを彼女は選んだ。
けれど、柚希さんにはそのくらいの冒険がふさわしいと私は思う。高い壁を前に、彼女はさらに進化するはずだからだ。そして、挑戦する姿は私たちに勇気を与えてくれる。
ちえちゃんの成長がとても楽しみだ。
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