(写真=千倉志野)
(写真=千倉志野)

 私と東さんは、米コーネル大学大学院に入学した時からの「戦友」である。2人とも授業に付いていく英語力が足りず、補習班で英語の勉強に励んだ。お互い違う専門だったが、ホテルスクールのある場所からは建築学部の建物が見えたので、夜遅くに明かりが付いていると時々立ち寄ったものだ。そこで東さんは教授と意見を戦わせていた。

 彼女の「大事な部分は絶対譲らない」精神は、当時とちっとも変わらない。一緒に星野リゾートの多くの施設を作ってきたが、彼女は私たちが考える「採算」「利便性」よりも、「空間の豊かさ」「永続性」を大事にする。私がそういう要素に影響する部分に踏み込んで譲歩を迫ろうとすると、顔を真っ赤にして怒り出す。施主に媚びない姿勢は名建築家だったお父様にそっくりだ。

 東さんは今、東京・大手町に「塔の家」ならぬ「塔の日本旅館」を作ろうとしている。父の姿を超えられるのか、私はそれが楽しみでならない。

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