(写真=Splash/アフロ)

 細田守は、宮崎駿のような「国民作家」のポジションを引き継ぐ可能性が高いと見なされているアニメーション作家である。実際に、宮崎駿とはかつて仕事上の関係があり、宮崎駿監督作品『ハウルの動く城』は、元々は細田守が監督に抜擢されていた。

 ほかに、「後継者」の候補として、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督の名前がよく挙がるが、細田は、マニア向けではなく、多くの世代・立場の人間が観て楽しめる「健全な」アニメ映画を作る方向性において、庵野とは異なる作家性を持っている。

 キャリアの初期には『デジモン』や『ワンピース』の劇場版を手掛け、作家性を発揮していたが、評価は玄人筋に留まっていた。一躍その名を高めたのは、2006年の『時をかける少女』と2009年の『サマーウォーズ』、そして2015年の『バケモノの子』である。アニメーションの魅力と、現代性を、絶妙なバランスで組み合わせ、普遍的な感動を生み出す類稀なる才能だ。