(写真=中西祐介/アフロ)

 国境も、性別も、年齢も関係なく、相手の懐に飛び込んでいく。瞬時に一流の人間を見極める審美眼が彼には感覚的に備わっている。IT業界を牽引する、名だたる世界の経営者と、つながる、つながる、つながる。

 そうしていつしか、アメリカ西海岸でネットワークが生まれ、今日の成功を引き寄せた。

 孫さんは常に異次元の世界を見据えてきた。通信とインターネットの融合を予見して2006年にボーダフォンを買収。iPhoneの発売で、通信業界に波乱を起こした。3年連続で1000億円の赤字を出している会社を買う勇気など、私にはない。

 2012年になってグーグルが携帯メーカーのモトローラを買収したのを見れば、日本どころか世界の5年以上先を行っている。

 先が読める経営者は山ほどいる。だが、孫さんがすごいのは、それに合わせて企業の形を変えていく柔軟性を備えているところ。

 ハイテク通信業界の戦いに国境などない。技術革新に乗り遅れると、とたんに収益はゼロになる。

 通信戦国時代の中で、孫さんは必ず生き残っていく。どんな武器を懐に隠してあるか。まだ私には見せてくれない。