(写真=大高和康)
(写真=大高和康)

 藤田浩之さんと初めて会ったのは2006年、米国クリーブランドにあるケース・ウェスタン・リザーブ大学の“倫理と叡智のための稲盛国際センター”の開所式に出席したときであった。当時、藤田さんはクリーブランドでMRI用RFコイルメーカーのクオリティー・エレクトロダイナミクス(QED)を立ち上げたばかりの頃であったが、志に燃え、日本から遠く離れた米国の地で頑張っている姿が大変頼もしく思われた。

 言葉も文化も違う異国の地で事業を行うこと、とりわけ製造業を営むのは並大抵ではない。経営者がひとりでいくら努力をしてみても限界があり、従業員と、価値観、ビジョン、ミッションを共有する必要がある。そのため、藤田さんは、物事を判断するにあたっては、私が常日頃から唱えている「人間として正しい事を行う」というフィロソフィを基準にされるとともに、自分の志や目標を常に従業員と共有されてきたという。

 その苦労の甲斐あって、現在、QEDは、売上2500万ドル(2012年末)の世界有数のRFコイルメーカーへと成長した。また2012年は、オバマ大統領から年頭の「一般教書演説」に招かれ、2013年は、米国商務省の製造業評議会政策顧問に選ばれたという。藤田さんの成功に心からの敬意を表する。今後ますますの活躍を期待するとともに、彼の活動が、日本のそして世界の若者への力強いエールとなることを願ってやまない。

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