
宇宙探査機はやぶさが、光の尾を引いて地球に戻ってきたとき、私は、不思議な縁を感じずにはいられなかった。
奇しくも父、松本強は陸軍航空部隊に所属し、この探査機と同じ名を付けた「隼」を操っていた。父の存在は、後の私の作品に大きな影響を与えている。
はやぶさが欠片を持ち帰った小惑星「イトカワ」もまた、その名を聞くだけで胸が熱くなる。日本におけるロケット開発の祖と呼ばれる故糸川英夫先生と私は、過去、印象的な出会いをしている。「私も子供の頃は機械工学を目指しましたが、断念せざるを得なかった。それが心残りです」とこぼす私に、在りし日の先生は「何を言うか、あなたは自由の道を選んだからこそ、色んな作品が描けているんじゃないか」と激励してくれたことが、今でも忘れられない。
だからこそ、はやぶさのエンジンを開発し、さらに来年、はやぶさ2の打ち上げの陣頭指揮を執る國中先生に思いを馳せるとき、私は何ともいえない高揚感に包まれる。新しい宇宙開発の幕開けを告げる鐘を、國中先生が打ち鳴らす瞬間を、私は心待ちにしている。
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