(写真=朝日新聞社)

 2011年3月11日。忘れがたい災害が日本を襲った瞬間、私は村木さんと一緒にいた。都内で、地方自治体の子育て支援に関するシンポジウムが開かれ、村木さんと私が登壇する予定だったのだ。村木さんが話し終わるか終わらないかという瞬間に大きな揺れが襲った。その後、村木さんはずっと来場者の安否を気遣っていた。

 「利他の心を持つ女性」。そんな村木さんが、日本で最も利他の心が求められる厚生労働省の事務次官に就いた。適所適材とはこのことであろう。

 村木さんとのお付き合いはもう5年以上になる。私はかねて育児支援活動を進めており、その縁で男女共同参画基本計画などを担う村木さんと知り合った。  笑顔を絶やさず物腰は柔らか。相手の声にしっかりと耳を傾ける彼女の姿に、たちまち信頼感を覚えた。一方で実務はまるでチェスのごとく戦略的に進める知性も持ち合わせている。

 これまで厚労省では、育児が福祉の対象となったことはなかった。これは実務のトップに当事者意識を持つ人がいなかったため。だがついに、2人の娘を持つ村木さんが就いた。「母」としての当事者意識を持つ彼女が厚労省を率いれば、日本の女性活用や子育て支援は抜本的に変わるはずだ。

 誰よりも利他の心を持つ村木さんが、日本をより住みやすい国へと変えていく。彼女の活躍に期待している。