(イラスト=服部あさ美)

 ある討論番組でご一緒した時のことだ。瀧本さんは、買ったばかりの数冊の専門書を持っていた。どんな本を読むのかと興味があったので、こっそりとタイトルをチェックしてみると、フィンランドの高等教育について。番組で急遽加わった論点に関する本だった。驚いた。だって、瀧本さんくらいの博識であれば、別に新たに勉強などしなくても、これまでの知識から議論に参加できるに決まっているからだ。 そして、気付いた。「博識」とは、こういうことなのだ、と。

 書籍やツイッターをはじめ、瀧本さんの発言には「正解」が多い。時事問題でも、法律論争でも、きちんと問題の交通整理をして、現実と文脈に沿った、その場における最適解を提示する。だから瀧本さんの言葉には説得力がある。だけどそれは、いわゆる「大学教授」のように、死蔵された過去の知だけに基づいたものではない。かといって過去の知を軽視するわけでもない。

 知を武器にしながら、現実世界で戦い続ける博識な参謀。それが僕から見える瀧本さんの姿だ。その意味で、瀧本さんは本当の意味で「知識人」なのだと思う。