(写真=菅敏一)
(写真=菅敏一)

 21世紀日本の本道を歩いている――。そう聞けば本人が驚くだろう。だが、就職難で教師をあきらめ福岡市の冷蔵倉庫会社で働いていた若い女性が、僅かな貯金で水産ベンチャーを起業し、国際的な取引を拡大して5億円近い年商を上げるに至っている。

 彼女の歩んできた道には、消費者側からの起業、女性による経営、地方企業の世界展開、高級食材分野での事業拡大と、今世紀の日本で事業を発展させるためのキーワードが散りばめられている。

 日本の食品市場は多年、「たとえ添加物や薬物まみれでも、国産ならば高品質」という、プロダクト・アウトの発想にスポイルされてきた。これに対し彼女のビジネスを貫くのは、品質と味を求める消費者に安全な水産加工品を届けたいという、マーケット・インの発想だ。だからこそ、出所から加工まで徹底管理した無添加の食材を中国や東南アジアから輸入して、高い評価を受けている。

 東京の巨大企業で「左遷だ」「10倍返しだ」と20世紀の遺物のような双六にはまっている若者たちにも、できれば彼女のように、自分の足で21世紀の本道を歩んで欲しいものだ。

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