(写真=五十嵐隆裕)

 ゴーンさんが日本にやってきて、かれこれ15年近くが経つ。当時40代だった彼も、もう還暦前だから、時が経つのは早いものである。

 ゴーンさんが特命を受けて来日した時、日産自動車は社員や役員、労組、すべてが疲弊し切っていた。会社が倒産する可能性すらあった非常時だからこそ、彼の強力な手法が受け入れられたのだろう。

 とにかく、猛烈に頭の回転が早いし、実行力がある。即断、即決。ゴーンさんはもうすっかり、日産の「スーパーCEO(最高経営責任者)」としての地位を築いているが、私は「スーパーCOO(最高執行責任者)」としても類稀な才能の持ち主だと思っている。

 ビジョンを語るだけの経営者は数多いる。しかし、ゴーンさんのように、経営の理念と推進力を兼ね備えたトップは、世界を見渡しても、そうはいない。

 ゴーンさんと私は時々、ワインの集まりで顔を合わす。そこでもゴーンさんは、スーパーCOOぶりを見せつける。「ワインはどこでつくるのが一番安くあがるか?」。カリフォルニアか、アルゼンチンか、あるいは日本か。そんな禅問答を投げかけても、即座に、その土地の価格や人件費をはじき出し、その明解ぶりに我々を驚かせる。

 GMやフォードが、ゴーンさんを求めていると聞く。そりゃあ、そうだろう。世界でもこの「スーパーCOO」は評価が高いのだ。レバノン系ブラジル人で、フランス自動車大手ルノーのトップも兼ねる。真の意味で、日本が輩出した初めてのグローバル人材がゴーンさんとも言える。

 今年、日産は創業80周年の節目。長きに渡る日産の歴史の中での一時代を、ゴーンさんはつくりあげた。大改革の15年、アッという間だったに違いない。