(写真=毎日新聞社/アフロ)

 その日、N響のオジサンたちは機嫌が悪かった。

 「ホープコンサート2013」のリハーサル日、御登場遊ばされたメガネ少年(山根氏)の態度を見て、東海林さだおのマンガみたいに「ま――っ! なんざんしょ!」と前歯を突き出して目くじらを立てる心境となった。

 とにかく、「えぬきょー」にビビってない。変なだらだらの服を着て、ポケットに手突っ込んでへらへら揺れながらやってくる。しかも出番前、今から弾くのはラロだというのに、ブラームスの協奏曲をでっかい音でさらっている。

 「こいつ、めちゃくちゃ大物か、空気読めないだけか…」とか思いながら、ど・ど・だーん! とイントロを演奏した。大物的態度で楽器をギリギリに構えたメガネ青年の、冒頭の跳躍が! とっ・とっ・ひよ~~~~~!!と、メチャクチャにデカイ音で外れて、伴奏しているおれたちが全員椅子から落っこちた。

 「なんじゃこりゃ!」爆笑ものだ。しかし、全くメゲテナイ。メガネ視線を投げて「こうやれ!」と合図する。あごや弓でアンサンブルを要求する。…それぞれが音楽的にちょっと面白い…。お気に召すと、相変わらず揺れながら、微かににや、とする。感謝しているのかも? と思っているとフィナーレだ。頭の「おっぱずし」はどこへやら、なんだか物凄いんですけど。

 自分の子供くらいの青年のペースにすっかりはめられて、いつのまにか楽しんで共演させられている悔しさ? を、オジサンたちは味わって、終わったらみな機嫌良くなっておりました。

 大物の将来に期待しています。