
松本氏は、名古屋で育った。同郷のよしみで折に触れて話を聞く。熱い人だ。理詰めで思考する一方、ユーモアあふれた話術で、人を惹きつける。「天才技術者」という声が同僚からあがる。「会社を辞めろ」と部下に迫ったという伝説まである。
一貫して技術畑を歩んだ。2001年に発売され、大ヒットした初代「フィット」の開発責任者だ。特許を取得した「センタータンクレイアウト」はホンダのパッケージングを画期的に進化させた。軽「N BOX」にも採用されている。
2013年4月からはアジア・大洋州生産統括責任者として、「グローバルオペレーション改革」の指揮を執る。現地の調達、生産インフラを最大限に活用しながら、地域顧客のニーズを取り込んだ「現地最適図面」に取り組む。現地スタッフの育成にも力を注ぐ。
2013年夏、松本氏がインドから一時帰国した際に話をする機会があった。「大事なのは、スピード」「ドラスティックに変われ」――と、現地で檄を飛ばしているという。相変わらずアクセル全開である。
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