(写真=毎日新聞社/アフロ)

 囲碁仲間の集い「大竹会」に、兄・稔とともに参加して30年ほど経つ。大竹英雄名誉棋聖からは「3段」を戴いているが、「布石2段、競り合えば4段」と自称している。囲碁は最初に目標を設定し、そのための手段を、あれこれ考え抜く。途中、仮説が崩れれば目標を大胆に変える決断を独りでしなければならない。これが囲碁であり、経営である。

 24歳の井山裕太さんは2013年、史上初の6冠、7大タイトルグランドスラムを達成した、若き天才である。それは実に冒険的な打ち方をする。最初は混沌の世界を彷徨う。しかしながら、常にコンピューターのように最善手を緻密に考え抜き、最後は「人間力」で勝利する。

 今の囲碁は、インターネットなどの普及で情報がいとも簡単に入手できるようになり、複数の人間で相手を徹底的に分析する「共同研究」の成果が、勝敗に現れる。「経験」では勝てない、そんな時代だ。