(写真=The New York Times/アフロ)
(写真=The New York Times/アフロ)

 夫はノーベル経済学賞受賞者で、息子は経済学者。当の本人はハーバード大学などの超一流校で教鞭をとってきた経歴の持ち主だ。彼女が纏っている肩書きを見ただけで、凄腕のエコノミストであることが容易に想像できる。

 だが、大阪の道頓堀あたりを歩いたとして、誰も凄腕エコノミストとは気づかないかわいいおばちゃん風情に、拍子抜けする。実像もそんな印象そのままらしい。柔和な表情をもって人間関係を深め、敵を作らない愛すべき性格は、彼女を熟知する人の共通認識だ。経済政策も雇用や景気を重視するハト派路線で、バーナンキ現米連邦準備理事会(FRB)議長の後釜としては、適任と言えるだろう。

 議長指名までには紆余曲折があった。オバマ大統領の本命は、ラリー・サマーズ氏。圧倒的な能力や国際的人脈は誰しもが認めるところで、彼が議長になれば、画期的な決断をしてくれると期待したのは、私や大統領だけではないはず。だからこそ、イエレン氏の力量が試される。米国では景気が回復しつつある。初の女性議長として期待は大きい。他方、政策変更に失敗すれば、世界経済が揺らぐ。その重責を、さらりとあの笑顔で乗り越えられるか。さて、お手並み拝見だ。

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