(写真=飯島美和)

 日本での自転車競技はまだまだマイナーの部類だが、「ツール・ド・フランス」といえば、誰でも一度は耳にしたことがあるだろう。フランスの山岳地帯を約3500km、3週間かけて駆け抜ける世界最高峰のロードレースである。その「ツール」を日本人で初めて完走し、2012年の第4ステージで敢闘賞に輝いたのが新城選手だ。彼の強さは、故郷・石垣島に由来している。島の風と雨、灼熱の太陽の下で育まれた肉体と精神は、雑草のような逞しさがある。

 新城選手の活躍の影響もあるだろう。最近になって、日本の街にもレーサーパンツをはいて疾走する男女が増え、自転車を巡る環境にも変化が見える。かつて高度成長期のモータリゼーションの影響を受け、僕らは「自転車は歩道を安全に」という教育を受けてきた。だから、日本ではママチャリという不思議な進化を遂げ、買い物や遊びのツールでしかなくなり、自転車に対する「誇り」が失われてきた。

 日本が欧米並みに「自転車文化」へと成熟してゆくには時間がまだまだ必要だろう。しかし、若き新城選手がその突破口になってくれることを僕は信じている。