(写真=後藤麻由香)

 実は最初の期待値は50%だった。「休日の家族サービスだ」「遊園地でも行くかな」。東京ディズニーランドが開園した1983年、DC-10型機の副操縦士だった私は妻と5歳の娘を連れて、その門を初めてくぐった。

 しかし夕闇にシンデレラ城が光り輝くと、娘を抱きかかえた私は息をのんだ。あの満ち足りた光景は、家族の思い出そのものだ。ゲートを出て「現実の世界」に戻るたび、一抹の淋しさがこみ上げる。そのたびに「また夢の国に来よう」と誓う。いつ来ても、私の心を100%満ち溢れさせてくれる。

 なぜ、これほど魅せられるのだろう。それが「おもてなしの心」と「人」にあると、ほどなく気が付いた。園内は塵ひとつ落ちていない。仮に汚れても、すぐに現場スタッフの方々が来て笑顔で掃いていく。スタッフの小さな積み重ねと状況に応じた判断力が、あの空間と時間を創っている。

 現場の一人ひとりが自ら考えて行動し、想定外も含めたリスクマネジメントを実践していく。テーマパークと航空。業界は違っても、誠実な姿勢を貫く大切さを教えてくれたのも、また東京ディズニーランドだった。