(写真=矢幡英文)

 伊東さんの建築には“絶対的水平感覚”がある。彼のこの珍しい感覚はどうして生まれたのか。冬に氷が鏡面と化す諏訪湖畔に彼が生まれ育ったことは、きっと無縁ではないはずだ。

 伊東さんは、10数年に一度、デザインを変える。2001年に開館した「せんだいメディアテーク」では、空に通じるチューブ型の柱を用い、建物内の空間と外の空間が反転する。建築界の常識を打ち破ったこの手法は、妹島和世氏や藤本壮介氏など若い建築家に強い衝撃を与え、日本建築の最先端のトレンドとなった。

 私も彼と同じ諏訪の出身だが、作風は伊東さんのそれとは異なる。

 伊東さんの作品は、先端的建築技術を駆使してシャープさと柔らかさをあわせ持つ表現を生み、自然素材を重視する建築を作る私には、まぶしく映る。

 伊東さんは今、高層建築に挑んでいるそうだが、そこでもまた、世界の建築家の思いもよらない試みをしてくれるに違いない。