(写真=的野弘路)

 全国に10人の「殿様」がいて、それぞれ悠悠自適の生活を送るような世界は、そう長く続かないだろう。この国の電力業界のことだ。

 エネルギーのベストミックスを考えると火力、水力、原子力、太陽光などすべての選択肢を残すのは当然のこと。発電コストや供給エリアなど、電力会社間の競争が起きて、やがて地域独占の上で胡坐をかく経営は許されなくなる。

 中部電力は業界の革命児だ。中東カタールに依存しているシェールガスを自ら米国経由で調達しようとしている。首都圏では電力小売り事業を始めるという。東日本大震災の教訓は「想定外に向けたリスク管理体制の構築」であり、彼らの取り組みは大きな礎になる。

 一国でエネルギーの安全保障を考える時代は終わった。安い石油と車文明に象徴される20世紀は、石油の備蓄量がパワーゲームの象徴だったが、エネルギー源の多様化で21世紀の競争環境は一変した。

 既に欧州やアジアは一つのエネルギー市場になりつつある。ここが日本に最も欠けている視点であり、中部電力が今、挑んでいる規制や業界慣習の壁だ。その取り組みは、エナジー・フォー・ピース(電力の平和利用)に向けた第一歩になるだろう。