
2001年の中央省庁改革で、いくつかの省庁や官職の権限は大きく変化した。その象徴が、内閣官房長官の役割だ。それ以前の官房長官は、どちらかというと内閣のスポークスマン的な役割で、政策そのものに大きな発言力はなかった。しかし総理官邸主導の政策を目指した2001年の改革で、内閣官房が拡充され、さらに内閣府という大組織が作られた。そしてそれらを統括する、総理に次ぐ実質ナンバー2の大臣として、内閣官房長官が位置づけられたのだ。
菅義偉官房長官は、こうした役割を最も強力に推進しているキーマンだ。2012年12月に就任後、アルジェの人質問題、TPP交渉への参加、日本郵政トップの交代など、直面する難題を次々に突破してきた。最近の東京オリンピック・パラリンピック招致でも、司令塔としての菅長官が大きな役割を果たした。そのスタイルは、調整役に徹しながらも常に闘う姿勢を忘れない。
秋田から集団就職で上京し、市議会議員から政治を志した根っからの苦労人。政治家として華麗なる家系の総理と、叩き上げの武闘派官房長官――。このコンビこそが、支持率70%という現内閣の強さを生み出した。今日もまた、新しい難題がふりかかる。闘う官房長官は、日々進化を続けている。
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