(イラスト=信濃八太郎)

 吉野家ホールディングスの河村泰貴社長と事業会社の吉野家の安部修仁社長の新体制は、吉野家が再び輝きを取り戻すための最強の布陣となるだろう。

 安部氏は、経営者というよりも、日本最強の吉野家ファンだ。吉野家の味に強くこだわり、米国産牛肉が輸入できなかった時期も、豪州産に浮気をしなかった。牛丼の中心に卵を落として、それを箸でかき回しながら牛肉に馴染ませる「安部流」を披露するときの顔は、まるで少年のように輝いている。一方の河村氏は、同じアルバイト出身ながら、傘下のうどん店チェーン「はなまる」を黒字化した実績を持っており、経営手腕は折り紙つきだ。

 実は、企業が成功するためには、商品を創り出すリーダーと財布のひもを締めるリーダーの両方が必要だ。ソニーの井深大と盛田昭夫、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫もそうだった。吉野家も河村氏という「経営者」を迎えて、苦境からの脱出の道が見えてきた。