(写真=Jan Buus)

 無私の精神と子供のような素直さ――。「経営者」から連想する性格とかけ離れた希有な存在だ。

 故・渥美俊一先生の主催する流通経営研究会「ペガサスクラブ」で似鳥社長と知り合ったのは、かなり昔のことだ。メンバーとタヒチに旅行した時、似鳥社長と同室になった。会話がはずみ、話題は多方面に及んだ。

 当時、北海道経済は難しい局面を迎えており、ニトリもその影響を受けていた。苦境を認めながらも、決して悲観することなく、信じる道を貫こうとする彼の姿を見て、「この人は凄いことを成し遂げる」という予感が走った。

 間もなく、ニトリは誰もが知る家具チェーンに飛躍し、予感は的中した。それでも彼は、「消費者の幸せとは何か」と自問を続ける。政治や経済に目を転じれば、日本に明るい話題は乏しい。だが「ニトリ」という店があれば、消費者は何か新しい幸せを発見できる。つくづく、希有な経営者だと思う。