(写真=青沼修彦)

 来年10月から運行する「ななつ星in九州」は、唐池さんが長年温めてきた九州を一周する寝台列車である。オリエントエクスプレスの高い志をJR九州が継ごうという思いも込めている。私もデザイナーとして参画したが、サービス、行程など、世界最高峰の鉄道文化を九州から発信する試みとなる。

 未知の領域ゆえ、常識では対処しえないことが百出している。が、それこそが唐池さんの「志」なのだ。つまり、この列車で学んだこと、乗り越えたことが、JR九州という企業の隅々にフィードバックされて、将来に活きると信じた勇気ある決断だった。

 唐池さんは、文化も経済も共に成立させたいと願っている。そのため困難は先頭に立って受け止め、責任をとる。一方で、自ら公共性を持ったガイドラインを作ったあとは、部下を信頼して任せる。こうした唐池イズムこそが、思わず笑みを浮かべてしまう列車と駅と街を、次々と生み出してきたのだと私は思っている。