(写真=ロイター/アフロ)

 2012年3月、大統領に就任する直前のプーチン氏は外国人記者との会見で、柔道用語を使って、興味深いことを語り始めた。

 「外交は引き分けがいい。お互い負けないことが肝心だ」と。日本の新聞社が食い下がった。「引き分けでは、北方領土は2島対2島だ。それでは日本国民は納得しない」。すると、柔道家でもある氏はこう付け加えた。「日露の外務省担当者を位置につかせ、私が『はじめ!』と号令を掛けようではないか」。

 私は彼の物言いに、再び領土問題が動き出す気配を感じた。「はじめ」という言葉は、「2島+アルファ」を期待していい。プーチン氏の領土問題にかける決意は、前回大統領時代にも増して、強くなっている。

 小泉政権以降、日露関係は冷え込んでしまった。プーチン氏の再登板は、日本にとって好機だ。だが時間はない。早急に日本側から具体案を示さねば、大統領はそっぽを向いてしまうだろう。

 12月、野田総理の訪露が予定されているが、「領土返還が最も近づいた」とされる2001年のイルクーツク声明をスタートラインとするカードが切れるかどうかが試される。人情家で礼を重んじる、「日本びいきロシア宰相」の決断に、私は大きな期待を掛けている。