
これほど「full contact」な人物に会ったことはありません。この素手でじかに撃ち合う流儀を意味する言葉通り、北川さんは、研究や教育はもちろん、食事からピアノ、スケートまですべてに容赦なく全力投球です。
出会いは2009年、ハーバード大学でした。先に彼女と知り合った私の妻が、「北川さんの日本史授業がスゴイから!」と出席を勧める。法律学者の私は、何の関心もなかったのですが、後に履修者が爆発的に増える「Lady Samurai」の出発点になるクラスに出席して、強引な妻に感謝することになりました。
日本の大学教育では論点を一方的に語りきる。北川さんは、あらゆる点で対極でした。学生が将来直面する知的格闘において「full contact」で臨めるよう鍛える。「駒村先生も、日本でそんな授業をやってみたら?」。妻の着付けで「着物レクチャー」を企む北川さんの視線が私を挑発しています。やはり、彼女の「full contact」は容赦がありません。
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