(写真=蜷川実花)

 写真家としてスタートした蜷川実花だが、今やその肩書は脱ぎ捨てた。映画監督であり、映像クリエーターであり、今この瞬間も、きっと、新しい「何か」を見つけている。

 それを一つひとつ語ることは、もはや意味がない。彼女のきらびやかな美意識、美の本質を見抜く審美眼、宇宙をも感じさせる表現力、すべてまとめて「蜷川実花ワールド」なのだ。だから僕は、彼女の写真展に足を運んでも、僕の手がけるAKB48のプロモーションビデオやジャケット写真を撮ってもらっても、「ああ、蜷川実花の世界だな」と思うだけだ。

 そもそも彼女にとって「写真家」という枠が小さすぎたのだ。「映画監督」という枠も小さい。蜷川実花は今後、家のプロデュースをするかもしれないし、食器のデザインを始めるかもしれない。はたまた、都市設計に手を出すかもしれない。

 彼女の内面にあるのは煮えたぎるマグマだ。計り知れないエネルギーを秘めていて、ある時、爆発する。だが、決して攻撃的という意味ではない。1児の母である彼女は、静寂も好む。

 蜷川実花も僕も、表現者は一瞬、一瞬が勝負。明日の構想など何もない。だからこそ、見る者をあっと驚かせることができるのだ。