(写真=柴田謙司)

 5年前に雑誌の対談で初めて会うと、アレックスは熱っぽく語り出した。日本は製造業を中心に経済大国を目指してきたため、サービス産業があまり発展しなかった。そんな今、世界へ発信すべきことは、古来からある日本の生活様式や思想なんだ、と。

 「回帰」を説き続ける姿を見て、「外国人だからこそ日本の大切なものが見えている」と直感的に理解した。30年以上も前から日本の古典美術研究に乗り出し、徳島県の山間にある古民家を改築して住み始めた。「日本の文化が世界に通用する」との思いから、京都では庵や町屋を再生して観光資源に変えた。日本に点在する古(いにしえ)の美しい残像を世界に広める伝道者の役割を果たしている。

 政府の観光大使も務め、現在は徳島・祖谷などで古民家再生プロジェクトを手がける。地方の文化を生かし、地域を活性化させる。そこに、世界が求める情景がある。天空人のような眼差しで、日本を見守ってほしい。