(写真=AP/アフロ)

 「五輪金メダル」という果実は、4年に1度しか訪れない大会が、アスリートとしてのピークのタイミングとぴったり重なり合わなければ手中にできないものだと思う。

 僕は、内村航平が北京五輪で銀メダルを取り、翌2009年の世界選手権で金メダルに輝いた時が、まさに彼の絶頂期だと感じていた。そこからロンドン五輪までの3年間はあまりに長く、さすがにピークを維持できないだろうと見ていた。

 しかしその後も、彼は3回の世界選手権をことごとく制して、しかも大会ごとに進化していった。ほかの選手からすれば、彼の存在は「雲の上」どころではないだろう。「宇宙に飛んでいった人」くらいのレベル差を感じているはずだ。

 本人は「どんな大会だろうと、一切、緊張しない」とコメントしているが、それは自他共に「ライバル不在」ということを確信しているから出てくる言葉だ。

 そんな内村も、ロンドン五輪の団体では危うく「雲の下」まで落ちそうになった。がしかし、個人種目では相変わらずで、星の彼方まで飛び出すような「宇宙人」ぶりを見せつけた。

 では、彼はどこまで飛躍するのか。今度こそ、ピークは「今」だと思う。さすがにもう、伸びしろがないはずだ。とはいえ、ケガさえなければ、次のリオデジャネイロ五輪でも金メダルは十分ありうるが…。

 同時に期待したいのは、新技「ウチムラ」の誕生。床での「後方抱え込み2回宙返り・4回ひねり」など、国際舞台で初成功させると命名される。「ウチムラ」は、地上で「内村」と呼ばれる宇宙人にしか実現できない神業なのだ。