(写真=千倉志野)

 素晴らしい発想力と行動力を持ち、責任感の強い類まれな経営者。私は柳井さんについて、お付き合いの範囲で語ることしかできないが、大変魅力的な人物だ。

 12年前、豊島の産廃問題で闘ってこられた中坊公平さんや、後に文化庁長官となる故・河合隼雄さんらと、瀬戸内海の荒廃した島々に自然を取り戻すための活動「瀬戸内オリーブ基金」を立ち上げた。柳井さんと初めてお会いしたのも、この活動がきっかけだった。山口県出身で瀬戸内海を愛する柳井さんは、すぐさま活動に賛同し、ユニクロ全店に募金箱を設置、その決断のスピードに感銘を受けた。また、昨年の震災では、共に遺児・孤児の支援基金を立ち上げている。

 ユニクロの世界戦略を牽引する姿から、瀬戸内での地道な植樹活動を連想するのは難しい。だが柳井さんは、グローバル展開と同時に瀬戸内の活動も常に気に留めている。時折、「植樹は順調に進んでいますか」と仔細を確認され、指示をいただく。そのきめ細やかさには驚かされる。

 建築の世界では、「細部に神が宿る」という言葉を使う。全体の構成と同等に、細部の扱いは重要であり、建築の価値を左右する。経営者にも同じことが言える。大胆な発想を持って企業の舵取りをする一方で、細部に目を光らせる繊細さも必要だ。柳井さんはその両面を、非常に高いレベルで兼ね備えている。

 柳井さんには誰よりも熱く、人の血が通っている。この人間性こそがユニクロというブランドの力の源になっている。