(写真=AP/アフロ)

 カンブリア宮殿のゲストとして登場したジェフ・ベゾス氏は、思ったより小柄で、終始笑みを絶やさない温和な紳士だった。資料として自伝を読んだときには、そのアグレッシブな経営戦略から「どう猛な野獣」を連想したので意外な感じがした。だが、徹底してロジカルな受け答えと、時折見せる鋭い眼光が、「戦歴」を物語っている気がした。

 アマゾン・ドット・コムは、たった4人でガレージで創業され、両親に無心するほどの資金難を克服し、インターネットとリアルな物流システムを組み合わせ、嵐のようなM&Aを繰り返して、まさに熱帯雨林のような、広大な「経済圏」となった。今や、アマゾンを越える時価総額を抱える企業は、日本ではトヨタ以外にはない。

 ベゾス氏の軌跡をたどると、いまだアメリカ合衆国にはフロンティアが残っているのだと思う。ただし、現代のフロンティアというのは、「残された土地や権益」を意味しない。個人として、また企業として、サバイバルするための可能性に賭ける正統な野心のようなものだ。

 「なぜそんなことをやるのか」より、「なぜやらないのか」という問いのほうに正当性がある、ベゾス氏が語ったその言葉が忘れられない。