(写真=佐藤博信)

 シンイチロウと初めて会った時、彼の真っすぐで温かく、鋭い眼差しに惹かれた。そしてそれが、どんな人生から醸成されたのか強い興味を覚えた。

 九州の宮崎県出身だという。知人に聞くと、宮崎は気候が温暖で穏やかな土地柄だそうだ。肉体的にも精神的にも強くて優しい男性、いわゆる「九州男児」が育まれる。彼は帰省すると、旧友や親戚と酒を酌み交わし、語らう。かの地が、彼に強いリーダーシップや高潔さ、実直な性格をもたらしたのだろう。

 時々、ふらりと海へ釣りに出かけるという。その姿を思い浮かべる時、私はその構図が、何かを暗示している気がしてならない。世界を巻き込んだ熾烈な「空の戦い」に突き進む男が、束の間、大海原を眼前に釣り糸を垂らしている。大自然に身を置いてリフレッシュする――。彼の魅力であるスケールの大きさ、おおらかさ、そしてホスピタリティの原点を垣間見るようだ。大物を釣り上げたという話は一度も聞いたことはないが。

 シンイチロウは、国際的なビジョンを掲げて激戦に挑んでいる。我々は、「ボーイング787」でその戦いに参加できたことを誇りに思っている。一丸となって開発した「ドリームライナー」が、ANAの飛躍の一助となり、彼の夢を叶えられたら。