(イラスト=信濃八太郎)

 12年前、監視委員会の事務局長だった私は、いつも不平を鳴らしていた。職員が不足し、行政罰たる課徴金がなく、権限が市場ルール違反の摘発に限定されている、と。現状、大幅に改善されている。では今なら、佐渡委員長指揮下の委員会と同じ成果を上げられるか。正直、自信がない。

 2007年の佐渡委員長就任以来、監視委員会の体質は変貌を遂げた。「違反を見つける」から「市場を正しく機能させる」へ。違反行為には原因がある。原因追求が内部管理体制の構築を促し、市場の透明性を確保する。昔から染み付いた摘発をよしとする体質は、容易に変わらない。彼は「何のための摘発か」を強調してきた。一流の検察官の一言が、市場の番人を進化させている。

 企業不祥事が続いた。当局批判もあったが初動は水際立っていた。事件の筋を素早く読み、適切な手段で行動を起こす。佐渡委員長の洞察力と度胸なしにはできない。