(イラスト=信濃八太郎)

 花井陳雄の面白いところは、超一流の研究者でありながら、人と人とをつなぐ触媒にもなれるという点だ。研究者として、免疫細胞の活性を劇的に高める抗体技術を開発した。創薬は一直線にゴールに辿り着くことはなく、その過程には全て意味がある。彼は、それらを座視せずに突き詰め、画期的な技術に辿り着いた。鋭い洞察力に裏付けられた非凡な能力だ。

 しかも、彼は他者との連携を拒まない。抗体技術も抱え込まず、他社に供与した。富士フイルムも合弁会社を設立したが、交渉相手が花井氏だったからこそ。能力的に優れた人はいる。周囲を巻き込む人もいる。だが、両方を併せ持つ一流は少ない。大きな仕事とは、こういう人間が成し遂げるものだ。協和発酵キリンと富士フイルム、お互いに新たな創薬の世界を築こう。