(写真=Jan・Buus)

 経営学者ピーター・ドラッカーは、企業の基本機能はマーケティングとイノベーションにあると述べた。日本の経営者の中で、このドラッカーの言葉の真髄を精神と肉体で理解し実践している人は誰かと聞かれたら、原田さんかもしれない。

 過去40年にわたりジャーナリストとして日本の経営者を追い続けてきたが、これほどに実行力のある男はいない。何度も会って話をしてきたが、私の知っている経営者の中で3本の指に入る、優れた経営者だと思う。

 初めて会った時から、その存在感は圧倒的だった。当時、原田さんはアップルコンピュータ日本法人の社長を務めていた。「マイクロソフトの成毛眞」と「アップルの原田泳幸」、この2人がIT経営者の双璧だった。だが、原田さんを心底すごいと思ったのは、2004年に日本マクドナルドホールディングスに移ってからだ。

 社長就任直後から、マクドナルドのブランドイメージの立て直しに奔走した。商品ラベルの張り替え問題や雇用問題が発生した時、間髪入れずに対策本部長として難局に立ち向かい、見事に乗り切った。短期間で弱った組織を立て直し、既存店売上高において対前年比で8年連続プラスを達成している。

 経営者として幾多の試練を乗り越えてきた。だからだろうか、肉体も頑強で、人間としての幅も広がっている。63歳にしてフルマラソンを走り、トライアスロンの大会にも参加している。スポーツだけではない。以前「日経おとなのバンド大賞」でご一緒したことがあるが、ドラム演奏はプロ級の腕前である。

 ダイバーシティ・マネジメントの時代、経営に年齢は重要ではない。同じ団塊世代だが、その中でも強い個性を持つだけに、今後も活躍し続けてほしい経営者だ。