(写真=宮嶋康彦)

 文化を売る人が多い中で、梅原さんは文化を創り出すデザイナーを貫いてきた。彼の企画の1つに、自然の砂浜をそのまま美術館に見立てた「砂浜美術館」がある。初めて出会ったのは、その町でのことだった。

 この町で人気を呼んでいたホエール・ウオッチングには、当たり外れがあって、いつでも鯨が見られるわけではない。そこで、外れのお客様には「残念鯨券」を出して、次のツアーを割引にしてはどうかといった僕の思いつきを、面白がってくれたのがつき合いの始まりだった。

 ある年、お中元やお歳暮はもう古いと思って、高知ならではの新しい贈答品を創れないものかと、梅原さんに相談した。しばらくして出来上がったのが、「季箱」と名づけた季節の品の箱詰めだった。今でも、全国に通用するアイデアと感じている。

 梅原さんは今、「84プロジェクト」に打ち込んでいる。高知県は県内の森林の比率が84%という全国で一番の森林県なので、そこに着目して、高知を丸ごとデザインしようという試みだ。だが、この夢のある挑戦にいま一つ乗りが悪いのも高知らしさの一端で、そのためか彼は、秋田県の地域おこしにも力を入れている。

 とはいえ、目の前にある人材の宝を生かし切れない高知流のもったいなさが、梅原さんの余力を全国に向かわせているのであれば、それもまた、日本の将来にとっては、明るい材料なのかもしれない。