(写真=ロイター/アフロ)

 野田内閣は、久々の長期本格政権になると思う。理由は、何より、我々がそれを望んでいるからだ。

 21世紀に入ってからこっち、政権の寿命は、首相本人の政治力や、内閣が残した仕事の可否によってではなく、むしろ、閣僚の失言や、カネにまつわる不祥事によって決定されてきた。そういった、言ってみれば偶発事故で首相の首が飛ぶ事態に、私どもは、もう随分前からうんざりしている。

 野田さんが、この先、首相としてどんな仕事をするのかは未知数だ。

 が、とにかく、不用意な発言で立場を悪くしたり、できない約束をして信用を失ったり、カネの出入りで不始末をしでかすようなケアレスミスは、まず、しないはずだ。政権に就くや、いきなり打ち出した施策が「ぶら下がり取材の廃止」であったあたりを見ても、その覚悟ははっきりしている。つまり、野田さんの当面の政治目標は、「1日でも長く首相の座にとどまり続ける」ところにあるということだ。

 一見、この姿勢は政治家として、志が低いように見える。が、権力を得た者がその維持に心を砕くのは、当然の心得だ。というよりも、義務でさえあるのかもしれない。

 私は、個人的には、鳩山さんの理想論が全く無効だったとは思っていない。菅総理が土俵際で持ち出した脱原発のマキャベリズムも、あれはあれで見事な戦略だったと思っている。でも、結局のところ、彼らは短命だった。ということは、いかに崇高な理想を持っていたのだとしても、結果として、彼らは、まとまった仕事を残していないということなのだ。

 野田さんは、正反対のタイプだ。官僚にもメディアにも容易に本心を明かさない。彼が自分をどじょうになぞらえたのは、あるいはもしかすると、一種の挑戦であるのかもしれない。

 “Catch me if you can”

 「オレを捕まえられるなら捕まえてみろよ」ぐらいな。

 野田さんは、どうにもつかみどころがない。つかんだと思っても、指の間からぬるぬるとすり抜けていく。

 で、歯切れの悪い言葉を語り、捕捉しにくい行動を繰り返しつつ、鈍重だとか言われながら、結果として、10年後に振り返った時点で、大きな仕事を果たしていてくれたら万々歳だ。

 期待している。どうじょよろしく。