(写真=Contour/Getty Images)

 日本の命運を左右する存在。イーロン・マスクの過去と今を俯瞰すれば、そう評するしかない。インターネット決済のPayPalを創業し、注目の電気自動車ベンチャー、テスラ・モーターズのトップを務める。そんなシリコンバレーの有名経営者は、なぜか日本に縁が深い。彼は2度、「日本の危機」を救っている。

 1つは昨年、全米で吹き荒れたトヨタ批判の時だった。ブレーキの不具合に始まった品質への不信はトヨタの販売を直撃した。社長の豊田章男はワシントンの公聴会に呼ばれ、米国民に向けて陳謝することになる。日本が誇る世界一の自動車メーカーが陥った突然の危機。その時、テスラが突然、トヨタとの提携を発表して、シリコンバレーにある本社で会見を開いた。マスクと握手した豊田は久々に笑顔を見せた。すると、その頃からトヨタ批判が鎮火していく。

 もう1つは東日本大震災による原発事故。「フクシマ」の地名が世界に轟くと、マスクは福島県相馬市を訪れ、太陽光パネルを寄贈している。市役所で会見に臨んだ彼は、「ここが太陽光発電の中心地になる」と語り、フラッシュを浴びながら風評被害に揺れる地元産の食品を口にした。

 宣伝効果を狙ったパフォーマンスだと見る向きもあるだろう。だが、窮地の時、どこからともなく現れて手を差し伸べる救世主を我々は求めていた。そして、環境車と再生可能エネルギーは、どちらも日本産業の未来の柱になる。日本が得た宣伝効果も計り知れない。