(写真=(c)Hokkaido Nippon Ham Fighters)

 「線が細いな」。第一印象はそう感じました。今はマウンドの上では圧倒的な迫力を感じますが、入団当時は、どこか繊細な感じ。当時のスカウティングリポートには、150km以上の速球の魅力について書かれていましたが、「手首が柔らかく、ボールをうまく操る」と、技巧派的な記載もあったように思います。

 今はその天性の技術(ソフト)にフィジカルの強さを加えた身体(ハード)を作り上げてきています。その姿から、彼が目指すプロ野球選手、アスリート像を見いだすことができるのではないでしょうか。

 あくまでも私の印象ですが、彼にふさわしい場を与えることで成長していくタイプだと思います。

 2005年の1年目、ダルビッシュ有選手は2軍スタートでした。2軍での数試合は際立った結果を出していませんでしたが、「それなりの場を設定すれば、本来の力を出して投げる」という高田繁ゼネラルマネジャー(当時)の言葉で1軍昇格が決まりました。この年、高卒ルーキーとしてはまずまずの5勝5敗でしたが、翌年以降、急激な進化を始めました。

 プロでの厳しい戦いを経験してスイッチが入ったように2007年から2011年までは5年連続で防御率1点台を記録しました。打者有利と言われる時代に、並大抵のことではありません。当時のチーム方針が彼の資質を開花させたということもあるでしょうが、それに応えたダルビッシュ選手の準備と実践が素晴らしい。

 リーダーシップの形は様々ですが、彼は自らのスタイルで範を示し、ほかの選手に影響を与えているように思います。自分のやり方を見ろ、自分から盗め、と。それでいて、聞いてくる人にも教えている。楽天の田中将大選手にも助言しているようで、「ライバルチームの選手にまでねえ…」と思いますけど。

 末恐ろしいのは、まだ25歳ということです。進化の過程。まだ完成されていません。

 プロ野球選手としての最終的な目標や人生の目的は知りませんが、私たちの次元では見えないものを見据えているように思えます。彼の活躍する場によっては、世界が彼を意識する、そんなアスリートになることもあり得ます。その場が彼を進化させるのです。

 彼のこれからは、彼の中にあるのでしょうが、飽くなき探究心によって最高の自分を追い求めていくでしょう。その場がいつまでも北海道日本ハムファイターズであることを願っています。