(写真:古立 康三)

 かつて駅や鉄道といった公共施設は贅沢な場所だった。一流の職人たちが空間作りに携わり、本物の調度品を揃えていたからだ。だが工業化の波にのまれ、今では味気ない空間が広がる。

 「公共の場をより贅沢に、市民が本物と出合える場所へ」。この信念で、列車や駅に贅沢な空間を生み出しているのが水戸岡だ。九州新幹線では車両に金箔や蒔絵、彫金といった“本物”をふんだんに盛り込んだ。九州や和歌山などを走るローカル列車では、木を基調にした温かい空間に、展望ラウンジやプレースペースなどを設ける。日本の伝統美に、乗客が喜ぶ数々の工夫を取り入れた唯一無二の鉄道デザイン。そして、赤字路線を観光路線へと変えた。

 次に手がけるのは、日本ではいまだに存在しない贅を凝らした寝台列車。最先端の技術と日本の伝統美を織り込んだ超豪華寝台列車をJR九州とともに計画している。数年後に完成すれば、日本の鉄道は世界からも評価を高めることになるだろう。