(写真=野口勝宏)

 2010年7月、福島県南相馬市に講演に行った時、桜井勝延市長に出会った。「面白い市長だな」と思った。彼とのつき合いはそれ以来、より強いものになった。

 震災直後の3月16日、「諏訪中央病院の医師と看護師が福島県に入るが必要か」と電話した。「病院側が何と言おうとも、応援に来てください」という返事だった。それから5月まで、南相馬で行動をともにした。

 決断の速い人である。オープンマインドである。そして、いつも前向きに判断する。昨年1月の市長選でのしこりが残っており、彼について様々な意見があるのは承知している。だが、想定外のことが起きている時に求められるのは、臆することなく、前向きのジャッジを下すこと。それを考えれば彼は適任だ。

 国にも東電にも平然とクギを刺す。1票のために、市民に相槌を打つということをしない。政治家はあやふやな態度に終始しているが、事故後、早い段階で新たな原発造りに対して反対の姿勢を明確にした。明確で揺るがない。それがこの市長のいいところだ。

 南相馬は地震や津波、見えない放射線、風評と闘っており、最もフクシマ的な地域だ。再生可能エネルギーによる自給自足的な町作りや放射線障害に対する医療拠点作りなど、ここで新しい町作りが成功しない限り、日本の復興はあり得ない。宮沢賢治に憧れている桜井勝延という男に期待している。