(写真=村田和聡)

 「バス会社の社長」というものに、失礼ながら、谷島さんに会うまでは、全く違うイメージを持っていた。彼が大手バス会社が放り出した赤字路線を、黒字化した伝説は知っていた。だが、これほど優れた戦略を持ち、スピードの速い決断をする人だとは。

 バスは始点から終点まで往復するだけ――。そう思っていたが、彼はバスにセンサーをつけて、客や運行状況をすべて把握する。そしてダイヤや車両を変更、バス停までずらしてしまう。そして観光地と連携して外からも人を集めてくる。彼が路線バスを運行している埼玉県ときがわ町では、首長と一緒に観光開発を進め、構想から1年で大規模な施設を造り上げる。そんな話、私は聞いたことがない。そしていつしか、私もプロジェクトに参加することになった。彼に会おうとすると「いつでもいいですよ」という。だが、彼の手帳をのぞくと、予定がびっしり詰まっている。この人柄に多くの人が引かれ、集まってくるのだ。秀逸な戦略と広い人脈。彼は間違いなく、全国にあるバス会社が目指す成功モデルになる。