(写真=古立康三)

 やるなら世界レベルでやる――。その言葉通り、彼は米シリコンバレーで、トップクラスのベンチャーキャピタリストたちを前に、拍手喝采を浴びていた。2008年、ベンチャー企業のアイデアを競う世界イベント「TechCrunch50」の舞台でのことだ。

 選び抜かれた企業が登壇するこのステージで、拡張現実(Augmented Reality)を利用したスマートフォン向けアプリケーション「セカイカメラ」が、強烈なインパクトを与えた。英語はお世辞にもうまいとは言えない。しかし、彼の情熱と先進的なテクノロジーが星くずのきらめきを振りまきながら、聴衆をぐっと引きつけた。

 それ以来、頓智ドットは拡張現実の分野で世界の先駆者として知られている。スマートフォンのカメラをかざせば、その画面に様々な人が書き込んだ付加情報が表示されるサービスだ。優れた技術とエンターテインメント性を備えた「セカイカメラ」などのアプリが、世界を魅了する。

 シリコンバレーを訪れる日本人は多い。だが、世界最高峰の技術者がしのぎを削るこの地で、果敢に挑戦し、成功を収めた日本人はほとんどいない。彼は、東洋の島国が持つ果てしない可能性を知らしめた。

 「世界に向けて創業する」。狭い日本にとらわれず、最初から世界をターゲットとして見据えている。彼の明確な姿勢こそが、次世代のインスピレーションになるに違いない。