
広島出身、機械工学専攻の金井誠太はカーマニアではなかった。だが、マツダに入社し、初めて設計した小さなホイールキャップが試作車に取りつけられたのを見た時、彼の「モノ作り」の心眼が開いた。
四半世紀前、金井が設計した新型上級車「ルーチェ」のリアサスペンションについて、熱のこもった的確な説明を受けた。彼は、特許を取得した「E型サスペンション」の発明者の1人だった。
米フォード傘下時代、彼が開発リーダーを務めたのが2002年発表の「アテンザ」だ。欧米の競合各社や技術者をうならせ、マツダ躍進の原動力となったモデルだ。フォードはこのクルマの基本設計を持ち帰り、米国で人気モデルを派生させている。
「スカイアクティブ」は燃費に優れた画期的な環境エンジンと思われがちだ。だが、理想の内燃エンジンを目指したガソリン、ディーゼル双方の新しいアプローチ、高効率トランスミッション、快適、安全、楽しさを有するトータルなクルマ、そして生産方式までを含む「モノ作り革新」システムと言っても過言ではない。
技術の趨勢に迎合せず、独自の「ちょっと反骨」的アプローチを取る。クルマを作り、乗る喜びと所有価値の提供を身上としてきたマツダらしい、金井誠太らしい革新魂がスカイアクティブだ。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む