(写真=村田和聡)

 35歳の若さで、目標から逆算して「やるべきこと」を経営に落とし込む術を知っている。そんな未来を見通す眼力に優れた岩瀬は、5年前、日本で74年ぶりとなる新規の独立系生命保険会社を設立した。そして「ネット生保」なる言葉を生み出した。「複雑」の代名詞だった保険商品をいともシンプルに作っていった。

 老舗の巨大企業がひしめく業界に切り込むことは容易ではない。10年近いつき合いになるが、激務は今も続き、一緒に食事をしていても、飲んで議論が盛り上がった後、すくと立ち上がり、「では、まだ仕事があるので」と言い残してオフィスに戻っていく。しかも意気軒高、楽しそうなのだ。

 若者が社名で就職先を選ぶ安定志向がはびこるご時世に、岩瀬は仕事の密度と革新性にこだわり続ける。開成高校→東京大学→ハーバードMBAという経歴も、見かけ倒しのための装飾ではない。必要なスキルを求めた結果に違いない。だから帰国後、有名企業には見向きもせず、ベンチャー企業への道に突き進んだ。しかも、社長を補佐する副社長として。

 岩瀬をロールモデルにした若き経営者が目立つようになった。業界にとどまらない影響力で、日本産業に革新を起こし続けるに違いない。