(写真=栗城事務所提供)

 「登山は孤独な戦い」。この既成概念をひっくり返し、「冒険の共有」という新境地を切り拓いたのが、栗城史多である。見た目は29歳の、ごく普通の若者。だが夢はとてつもなく大きい。単独・無酸素での世界7大陸最高峰制覇という前人未踏の目標を掲げたうえに、その瞬間をインターネットで中継しようとしているのだから。

 ネットから流れる登頂の様子を見守りながら、僕らも栗城と同じ気持ちを共有する。時にツイッターで励ましながら、くじけそうになる彼の背中を押す。今年10月、残された最後の最高峰エベレストへの挑戦は、食料がカラスに食い荒らされる予想外のトラブルに見舞われ、下山を余儀なくされた。ネットを通じてその状況を目の当たりにした僕らも、同じ悔しさをかみ締めた。

 だが、あきらめることが苦手な栗城のことだ。きっと、帰国早々、すぐに次の挑戦に向けた準備に奔走するに違いない。大事なのは結果よりもプロセス。愚直に努力を続けるその姿が、若い世代に勇気を与え、僕らの心を奮い立たせてくれる。