(写真=柚木裕司)

 官僚組織の中にいて、なぜこの人は本音で語るのだろうか。官僚批判を綴った著書『日本中枢の崩壊』がベストセラーになった古賀茂明さんについて、不思議でならなかった。ある時、彼がこうポツリと漏らした。「大腸ガンになって本音で生きようと思った」。それで疑問が解けた。彼はそれから、「正しい」と思う心に忠実に生きてきたのだ。

 官僚変革は困難を極める。ましてや身内の官僚が問題を口にするのはタブーだ。大臣として官僚組織の上に立った私は、その難易度を一番理解している政治家の1人だと自負している。官僚改革は本来、組織内に身を置き、鋭い観察力と構想力で変革の処方箋を描く人物が必要だ。

 その意味で、彼は国家の未来を左右する存在である。彼らの「常識」を破り、官僚組織の中枢にいながら高い問題意識を持ち続け、肝を据えて暗部を外に発信し続けた。そんな「官僚改革における最高のブレーン」は9月に退官された。お互い忸怩たる思いがある。だが今後、立場は違っても官僚改革という同じ目標を実現して、日本を蘇らせたい。